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更新日:2024.03.11

耳垢をごっそり取る方法は?自分で耳掃除をする時の注意点を解説!

耳垢をごっそり取る方法は?自分で耳掃除をする時の注意点を解説!

耳垢の掃除は、実はやらなくてもそこまで問題がないと言うことをご存知でしたか?
この記事では、耳掃除に関するあまり知られていない事実と、実際に自分で耳掃除をする際のやり方やコツ、注意点に関してお伝えしていきます。
耳垢をごっそり取りたいと思っている、耳掃除に関して詳しく知りたいという方は、ぜひ最後までご覧ください。

本当は耳掃除はしなくても良い

耳掃除が好き、という方も多いと思いますが、実は「耳垢の掃除は原則不要である」ということをご存知でしたでしょうか。
耳の中は手や足の皮膚と同じで、ターンオーバー(皮膚の新陳代謝)によって自然に老廃物が排出される仕組みになっています。
そのため、高頻度で耳掃除を行うことは、本来自然にでていくはずの耳垢を耳の奥へ押し込んでしまい、炎症を起こしやすくしてしまうこともあるようです。

しかし、自然と耳から出ていくとはいえ、耳垢の溜まりやすさは、人によって異なります。
「耳掃除をしないと聞こえが悪いような感じがする」「耳垢が溜まって気になる」という方には、どのような特徴があり、またどのような対処をしたら良いのでしょうか。

耳垢が溜まりやすい人の特徴

耳掃除は原則しなくても問題ないと言っても、耳の中に耳垢が溜まりやすい方もいます。
例えば、下記の項目に当てはまる方は通常よりも耳垢が溜まりやすいと言われています。

・高齢者の方
・アトピー性皮膚炎の方
・騒音の中での仕事に従事する方
・補聴器を日常的に使用している方
・耳栓を使用している方
・耳の奥まで差し込むタイプのイヤホン使用している方

上記の項目に当てはまる方は、耳の中のターンオーバーが通常より遅くなることで耳垢の排出までに時間がかかっている場合や、耳の中への刺激によって耳垢の排出を妨げている可能性があります。

ただ、このような耳垢が溜まりやすいとされている方でも、1ヶ月に一度、もしくはそれ以上の間隔で耳掃除を行なっても問題ありません。

関連記事:耳が聞こえづらい?!原因や対処法を知って早めに対応を

耳掃除の推奨頻度

日本の耳鼻咽喉科の発表を見ると、耳掃除の頻度は 2〜4 週間に1回程度で十分とされていますが、米耳鼻咽喉科頭頸部外科学会や海外の論文や発表を見てみると、健康な状態であればほとんどの方が耳掃除は不要とされています。
(※補聴器を使用している方は、6~12ヶ月ごとに専門医を受診し、予防的な意味で耳掃除をしてもらうことを推奨していました。)

定期的に耳掃除がしたい、やめられないという方は月に1〜2回を目安に行うのが良いでしょう。

耳掃除の頻度に耳垢のタイプによる差はあるか

先ほど紹介した発表の中で、日本と海外で耳掃除の推奨頻度の差が生まれているのはなぜなのでしょうか。
また、米耳鼻咽喉科頭頸部外科学会の発表は、西洋人などの耳垢に向けられたものでしたが、私たち日本人と何か違う点があるのでしょうか?

そもそも、アメリカや西洋系の方々と、日本人の耳垢の性質は異なっています。
西洋人の90%以上が湿性耳垢(少し湿っている耳垢)であるのに対して、日本人の70〜80%は乾性耳垢(かさかさとした乾いた耳垢)です。
西洋人風の耳垢である「湿性耳垢」と日本人風の耳垢である「乾性耳垢」、どちらが自然と耳から出やすいかを考えてみましょう。
結論、「乾燥している耳垢の方が耳から出やすい」というのは明らかで、耳掃除は原則しなくても問題がないというのは、海外だけでなく日本人にも同様に言うことができます。

また、日本人の湿性耳垢の方も耳掃除は原則しなくても問題がないと言っても良いでしょう。

自分で耳掃除をする時の注意点

ここまで紹介した通り、耳掃除は原則しなくても良いと言っても、耳掃除が習慣化していて、定期的に耳掃除がしたい、やめられないという方も多いですよね。次は耳掃除をする際の注意点について紹介していきます。

まず、耳掃除を自分で行う上での注意点は大きく分けて3つあります。

耳掃除の注意点①:月に1〜2回を目安に行う

ここまでにも紹介していますが、耳掃除のしすぎは耳の中を傷つけてしまうことから炎症につながり、さらにそこから雑菌が入り込むことで炎症を悪化させてしまう恐れがあります。
月に1回や2週間に1回など、耳掃除を行う日を決めて、推奨頻度を守るようにしましょう。

耳掃除の注意点②:明るい場所・人のいない場所で行う

耳垢はしっかりと耳垢を確認できる、明るい場所で行うようにしましょう。
また、周囲に人がいると、不意に手が当たった時や動いてしまった時に鼓膜を傷つけてしまう可能性があります。
できるだけ人のいない場所で行うことにも注意しましょう。

耳掃除の注意点③:耳の穴から1cmを目安にやさしく撫でるように行う

耳掃除は、耳の穴の入口から1cmくらいまでを優しく掃除してあげればOKです。
耳垢ができる場所は「外耳道」と呼ばれる場所で、耳のすぐ手前の部分になります。
つまり耳の奥の方まで耳垢掃除をする必要はなく、手前の部分を軽く掃除してあげれば十分清潔に保つことができます。

自分で耳掃除をしても耳垢が気になる場合

耳掃除の推奨頻度や注意点を守って掃除をしていても、耳垢が溜まっているような気がする、聞こえ方が悪いような気がする、という場合は、次のような耳の病気が隠れているかもしれません。耳鼻咽喉科の受診を検討しましょう。

耳垢・耳掃除が原因で起こる病気

耳垢の排出が上手く行なわれず耳の中に溜まっている場合や、耳掃除が原因でかかる病気は以下の3つです。

耳垢栓塞(じこうせんそく)

耳垢が溜まって耳に不快感や聞こえづらさ、耳鳴りを伴います。
また、時には難聴の原因になっていることもあります。

外耳炎(がいじえん)

耳の穴の入り口から鼓膜までの外耳で起こる炎症で、痛みやかゆみ、耳垂れを伴います。
外耳炎のほとんどは、耳掃除や耳を傷つけてしまうことが原因で起こります。

外耳道湿疹(がいじどうしっしん)

耳の穴の入り口から鼓膜までの外耳で起こる炎症で、外耳道の皮膚が荒れて湿疹を伴います。
外耳炎と同様に耳掃除をしすぎることによって湿疹が発生します。

耳掃除を耳鼻咽喉科で行う場合

耳垢くらいで耳鼻咽喉科を受診しても良いのか、と悩む方も多いかもしれませんが、耳掃除は「耳垢栓塞除去術」という項目で、保険が適用されます。
また、耳掃除を耳鼻咽喉科で行うこと、耳を傷つけず綺麗に保つことができ、時には耳の病気の早期発見に繋がることもあります。

耳鼻咽喉科で耳垢栓塞除去術を受ける時の費用は、3割負担の方で1400円程度です。     

耳掃除でごっそり取れるのは実は危険

この記事に辿り着いた方は、「耳掃除で耳垢をごっそりとりたい」と思い探された方がほとんどなのではないでしょうか。

しかし、専用の器具を用いて耳鼻咽喉科で行う耳掃除ではなく、自分で行う耳掃除で耳垢がごっそりとれるということはほとんどなく、自分で耳垢をごっそりとろうと、耳かきや綿棒を奥まで入れるのは思わぬ怪我に繋がる危険線があります。

また、もし無理に耳垢をとろうとしたわけではないのに、ごっそり取れるという場合は以下のような病気の可能性も考えられるため、一度耳鼻咽喉科の受診を検討しましょう。

耳垢がごっそり取れる時に疑われる病気①:外耳道真菌症

耳の穴の入り口から鼓膜までの外耳で、粘膜に真菌(カビ)が発生し炎症を起こす病気です。
酒粕のような白い耳垂れが乾くとカサカサとした耳垢のようになるため、耳垢と区別が付きづらいことがあります。
耳のかゆみや痛みを伴う場合は外耳道真菌症に感染している可能性があります。
自然に治癒することはほとんどないため、耳鼻咽喉科を受診しましょう。

耳垢がごっそり取れる時に疑われる病気②:外耳道真珠種

耳の穴の入り口から鼓膜までの外耳の皮膚の中に耳垢ができてしまう病気です。
外耳道真菌症と同じように耳垂れを伴うことがあります。
外耳道真珠種は皮膚の中に耳垢がでるため、通常の耳垢とは異なり自然に出ていくことはありません。
進行すると外耳の骨を溶かしながら大きくなっていくため、手術が必要になるため、耳鼻咽喉科を受診しましょう。

聞こえづらさにピンときたら「オリーブの集音器」

オリーブユニオンでは、手に取りやすいスタイリッシュなデザインの集音器を扱っています。
最大の特徴は「聞こえのセルフ調整ができる」という点で、音を聞きたいシーンに合わせて、好きな時に、納得がいくまで、自分で調整を行うことが可能です。

聞こえづらさを放っておくと、将来的な難聴や認知症のリスクを高めます。
会話が聞き取りづらいことや、テレビやラジオの声が聞き取りづらいと感じることがあれば、音楽用イヤホンとしても使える、機能が充実したオリーブの集音器がおすすめです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回の記事で、耳掃除について前よりも詳しくなっていただけたら幸いです。

この記事を簡単にまとめると、「頻繁に耳掃除をしすぎない」「耳垢・耳掃除が原因で起こる病気がある」「耳垢をごっそり取るのは危険」ということになります。
耳掃除は年齢に関わらずほとんどの方が習慣的に行なっている行為だと思いますので、今日知ったことをぜひ周りの大切な方々にもシェアしてみてください。

また、耳垢が溜まっていることによる不快感、かゆみや痛みを伴っている場合は、病院での対処が最適なこともあります。
何か気になる症状がある方は、お近くの耳鼻咽喉科の受診をお勧めします。

言語聴覚士

ゴン・ハンオル

Han Eol Kong

韓国江原道春川出身。幼い頃から祖母と一緒に暮らしていた影響で高齢者関連の学問に興味を持ち、韓林大学聴覚学科に進学。大学時代に耳鳴り治療を開発する企業でインターンシップを経験し、聴覚士資格を取得。その後は補聴器専門センターでセンター長として勤務。現在はオリーブユニオンで顧客へのカウンセリングや製品開発を行うなど幅広く活躍中。

ゴン・ハンオル

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