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耳鳴りと難聴

更新日:2024.03.12

片耳難聴とは?困る場面や必要や配慮、支援を解説

片耳難聴とは?困る場面や必要や配慮、支援を解説

難聴は、両耳に起こるものばかりではありません。
片方の耳だけ聞こえにくい・聞こえなくなることもあり、これを片耳難聴と呼びます。
ここでは、片耳難聴になるとどのような場面で困りやすいのか、周囲ができる配慮とともにご紹介します。

片耳難聴とは?

片耳難聴とは、片方の耳だけ聞こえない、または聞こえにくい状態のことを指します。
「一側性難聴」もしくは「一側ろう」と呼ばれることもあり、生まれつき起こる場合と後天的に起こる場合との両方があります。

難聴がない側の耳は正常に聞こえるため、小さなお子さんなどは症状が目立ちにくく分かりにくい点も特徴です。
就学時の聴力検査で初めて分かることも珍しくないと言われています。

参照:正しく知っておきたい「一側ろう」のこと | 日本耳鼻咽頭科学会
https://www.jibika.or.jp/owned/hwel/news/005/

関連記事:片耳が聞こえない時の対処法は?今からできる予防法も紹介

片耳難聴の原因

片耳難聴が起こる主な原因は、以下のとおりです。

関連記事:耳が聞こえづらい?!原因や対処法を知って早めに対応を

突発性難聴

ある日突然、片方あるいは両方の耳が聞こえにくくなる病気を、突発性難聴といいます。
働き盛りである40代~60代に多いとされ、その原因はストレスや過労、糖尿病などが関係していると考えられていますが、不明な点も多いです。

突発性難聴の症状の出方は人それぞれで、高音など一部の音が聞こえなくなる人もいれば、全く聞こえなくなる人もいます。
耳の聞こえにくさの他に、耳鳴りや耳の詰まり、めまい、吐き気などを伴う場合もあります。

中耳炎

風邪や   急激な気圧の変化、大量の鼻水をすするなどして起こる、中耳の炎症を中耳炎と呼びます。
子どもに多いとされますが、大人になってからも繰り返すことのある病気です。

中耳は、鼓膜よりも内側にあり、鼻の奥と細い管でつながっています。
ここから微生物が侵入して感染すると中耳炎を引き起こすことがあります。
中耳炎が進行し、鼓膜の奥に水がたまると、鼓膜が本来の役割を発揮しにくくなり、難聴につながります。

加齢による難聴

加齢に伴い、音を感じ取るための有毛細胞が少なくなると、徐々に聞こえにくくなってきます。
75歳以上になると、およそ半数の方が加齢に伴う難聴を起こすとされており、一般的には高い音から聞こえにくくなるのが特徴です。

さらに、高齢になると音を伝えるための神経回路に障害が見られたり、認知機能が低下したりして、聞こえにくさを生じることもあります。

メニエール病

メニエール病は、主に30代~50代に多い病気で、回転性の強いめまいとともに難聴や耳鳴り、耳の詰まった感じを繰り返す病気です。
めまいの発作は数分~数時間続き、発作の頻度にも個人差があります。

1~2年で軽快することの多い病気ですが、長期化してしまうと難聴が進むこともあり、片耳しか見られなかった症状が両耳に及ぶこともあります。

急性音響性難聴

ライブ会場やヘッドホンで大音量の音を聞くことで、音を感じ取る有毛細胞が傷み、難聴を引き起こすことがあります。
これを、急性音響性難聴といいます。大きな音から離れれば次第に治ることもありますが、その程度が重度であれば症状が長期にわたって続くことも珍しくありません。

参照:片耳難聴になる原因とその症状とは?仕事をする上での注意点について解説 | atGPしごとLABO
https://www.atgp.jp/knowhow/oyakudachi/c3126/

片耳難聴の方が困る場面とは

よく、片耳が難聴であっても「もう片方の耳は聞こえるから不自由はないのでは?」と誤解されることがあります。
しかし、場合によっては片耳難聴による不便さを感じることもあるようです。
具体的に見ていきましょう。

難聴のある耳側から話しかけられたとき

人は常に、会話をする人の正面に立っているわけではありません。
難聴のある耳の方向から話しかけられた時、聞こえなくてリアクションがとれなかったり、聞き直したりするケースは多くの方が経験しています。

会話の相手が難聴のある耳側にいる場合、どうしても聞こえる方の耳から入ってくる情報や会話に気を取られてしまって集中できないことも多いようです。

騒がしい場所で話しかけられたとき

大勢が集まり賑やかな場所でも、両耳が問題なく聞こえれば、聞きたい音だけ選び会話を楽しむことができます。
これは、カクテルパーティー効果といい、意識せずとも行える能力といえるでしょう。
しかし、片耳難聴の方は、聞きたい音だけにフォーカスをすることが苦手です。

そのため、あちこちで人の声がするような騒がしい場所に対して苦手意識を感じる方も少なくありません。
例えば美容院や会議、賑やかな飲食店などでは、会話したくてもできないという方も多いです。

声や音の聞こえる方向がわからない

少し離れた場所から話しかけられた時、両耳が聞こえる場合は音のする方向が分かるためすぐにその方向へ振り向くことができます。
しかし、片耳難聴の場合は、音のする方向が分かりにくく、話しかけられてもキョロキョロと周りを見渡して相手を探す必要があります。

話しかけた相手が分かりやすいジェスチャーをしない限り、誰から話しかけられたのか分からず反応が遅れてしまうことも。
学生の場合は、体育の授業でチームを組むスポーツが苦手という方も多いようです。

参照:片耳難聴だと困る場面 | きこいろ – 片耳難聴の情報・コミュニティサイトhttps://kikoiro.com/questionnaire-results/
参照:正しく知っておきたい「一側ろう」のこと | 日本耳鼻咽頭科学会
https://www.jibika.or.jp/owned/hwel/news/005/

片耳難聴の方へ必要な配慮

家族や友人、同僚などに片耳難聴の方がいる場合、どのような配慮をすれば良いのかポイントを絞って解説します。

聞こえる側から話しかける

片耳難聴の方へ話しかける時は、できるだけ正面か聞こえる側から話しかけるようにしましょう。
食卓では家族みんなの顔が見やすく会話をしやすい方向へ向いている席を選ぶ、会社のデスクは聞こえる方の耳側に隣の人のデスクを置くなどがおすすめです。

できるだけ静かな環境で話しかける

周囲の雑音が軽減されると、それだけ会話が聞こえやすくなります。
テレビを消す、窓を閉める、調理中や掃除中には話しかけないなどの工夫をしてあげましょう。

遠くから話しかけるときはジェスチャーを交える

少し離れた場所から呼ぶ時は、分かりやすいジェスチャーを加えると誰から話しかけられたのか理解しやすくなります。

片耳難聴の方への支援やサービス

片耳難聴の場合、原因となる疾患の程度や疾患に至った理由、その方の状況によって福祉の制度が適用になる場合もありますが、条件に合うかどうかは人それぞれ異なります。
福祉や医療の面でのサポートが受けられるかどうかについては、行政の窓口に問い合わせると良いでしょう。
ここでは、就職のサポートについて片耳難聴の方でも利用しやすいサービスをご紹介します。

ハローワークの障害者専用窓口

ハローワーク(公共職業安定所)では、障害者専門の窓口があります。
この窓口では障害者手帳を有している方を対象とした障害者雇用枠の求人募集が扱われています。

片耳難聴の方の場合、障害者手帳の取得対象には該当しない可能性もありますが、総合窓口では状態に応じた職探しのアドバイスがもらえるため、まずはそちらを訪ねてみてはいかがでしょうか。

参照:ハローワークインターネットサービス-障害のある皆様へ
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/member/sy_guide.html

障害者専用の転職サービス

障害者手帳を持っている方なら、障害者専用転職サービスの活用も便利です。
ハローワークでは扱われない求人も多いため、難聴によって仕事に就くことに不安がある方でも幅広い求人から希望の会社を見つけやすくなるかもしれません。

障害者専用の転職サービスでは、専門のエージェントによる充実したサポートが受けられる点も魅力です。
就職活動のための様々な支援や、採用時の会社との条件面の交渉、就職後の相談などに応じてくれます。

聞こえづらさにピンときたら「オリーブの集音器」

オリーブユニオンでは、手に取りやすいスタイリッシュなデザインの集音器を扱っています。
最大の特徴は「聞こえのセルフ調整ができる」という点で、音を聞きたいシーンに合わせて、好きな時に、納得がいくまで、自分で調整を行うことが可能です。

聞こえづらさを放っておくと、将来的な難聴や認知症のリスクを高めます。
会話が聞き取りづらいことや、テレビやラジオの声が聞き取りづらいと感じることがあれば、音楽用イヤホンとしても使える、機能が充実したオリーブの集音器がおすすめです。

片耳難聴についてのまとめ

片耳難聴は、「もう片方の耳が聞こえるならさほど不自由はないのでは?」と誤解されることも多く、日常生活のあちこちで不便を感じる方もたくさんいます。
周囲が理解し、ほんの少し配慮するだけでも、片耳難聴の方の暮らしの快適性は変わってきます。
大人になってから発症することもあるため、他人事だと決めつけずに毎日の暮らしの中で気を付けるべきポイントに注意していきましょう。

参考サイト
https://www.jibika.or.jp/owned/hwel/news/005/
https://kikoiro.com/welfare/
https://www.atgp.jp/knowhow/oyakudachi/c3126/

ミミマガジン編集長

大竹 舞

Mai Otake

新潟県出身。保険診療・自由診療の医療機関で接遇・販売を経験したのち、マーケティング部門でオウンドメディアの運用を担当。その際に突発性難聴を発症(現在は完治)。オリーブユニオンに入社後はマーケティング部に所属。自身の難聴経験を活かし、幅広い世代が抱える耳鳴りや難聴の悩みに対して、“わかりやすく、かつ身近な問題として感じてもらえる”をテーマに、ミミマガジンの運用・コラムの執筆にあたる。

大竹 舞

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