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耳鳴りと難聴

更新日:2023.09.21

耳鳴りに耳栓は有効?使う前に気を付けたいこと

耳鳴りに耳栓は有効?使う前に気を付けたいこと

耳鳴りは珍しい現象ではありませんが、耳栓をすることで緩和することは可能なのでしょうか?今回は、耳鳴りに耳栓が有効なケースとそうでないケース、また、耳栓を使う際に知っておくべき注意点についてご紹介します。  

騒音が原因の耳鳴りは、耳栓で予防

耳鳴りに悩んでいる人は、日常生活の至るところで不便を感じていることが多くあるものです。サウンドジェネレーター付きの補聴器をつけることで、耳鳴りが改善するケースもありますが、そもそも補聴器をつけずにそれを改善することは可能なのでしょうか。

全てのタイプの難聴に耳栓が有効だというわけではないものの、85dB以上の騒音が原因で耳鳴りがし、徐々に難聴が進行してしまう「騒音性難聴」や「騒音制難聴に伴う耳鳴り」を防ぐためには有効です。騒音性難聴とは、工事現場や騒音下で長時間仕事をする人や、ライブハウスで大音響にさらされることで発症してしまうものです。

騒音性難聴(職業性難聴)

騒音性難聴は長時間、大きな音にさらされることにより発症する内耳以降の聴覚器官の損傷による感音性難聴です。治療することが難しいとされている有毛細胞が傷ついてしまうことが原因と言われています。また航空業界や鉄道業界、工事現場などに代表される長時間、騒音の発生する環境で働かれている方に発生率が高いことから職業性難聴と呼ばれることもあります。

以下に、WHOが難聴リスクが高まる音の目安とそれを聞く時間について発表しているものを見てみましょう。(かっこ内は1日あたりの許容時間)

・街中での騒音が85dB(8時間)
・オートバイが95dB(47分)
・地下鉄車内が100dB(15分)
・工事用重機が105dB(4分)
・コンサート会場が110dB(28秒)

音は、聞こえる大きさのみならず、音を聞く頻度と聞き続ける時間によって難聴のリスクも変化します。以前は職場で大きな騒音にさらされている場合に騒音性難聴になるケースが多いものでしたが、労働安全衛生法に基づき、騒音障害防止策は職場環境に広まっているといえます。むしろ、日常生活の中の騒音を予測し、事前に耳栓をつけるなどして備えていくことが大切といえるでしょう。  

どんなタイプの耳栓がおすすめ?

日本工業規格(JIS)では、航空機発着場、工具を用いる製材場、造船、工事現場など、強い騒音下にある作業場で働く作業員の耳を守るため、防音保護具として耳栓を作っています。

耳栓の素材はウレタンやシリコンとなっており、外耳道に入れることで騒音をある程度までシャットダウンすることが。中には、33dBの騒音カット機能がついたものもあるので、選ぶときは自分の聞いている騒音からどの程度音をシャットダウンするべきか考慮することをおすすめします。

また、JISによる耳栓タイプは、1種(EP-1・低音から高音まで遮音するもの)と2種(EP-2・主として高音を遮音するもの)とに分かれています。1種は騒音の特に大きい職場で、2種は耳栓をしながらも周囲との会話が必要な場合におすすめです。  

飛行機内での耳鳴りには専用耳栓を

騒音性難聴を伴う耳鳴り以外にも、耳栓が有効になる耳鳴りのケースがあります。それは、飛行機内で経験する離着時の耳鳴りです。飛行機の高度が変わると機内の気圧も変化するため、人の鼓膜が影響を受けてしまいます。

鼓膜は耳の内側と外側との気圧を保つ役割をしていますが、気圧の変化によって耳の奥の中耳内に空気がたまり、膨張することで耳に圧迫感を引き起こすことに。それが、「キーン」という耳鳴りとなり、不快感を与えるのです。具体的には、中耳と鼻の間にある細い管「耳管」は、通常ならば気圧の変化によって開き、鼓膜の外側との気圧を保とうとします。

しかし、急激な気圧の変化でここがうまく開かないと、耳鳴りばかりではなく、耳が痛くなることもあります。 これを元に戻すためには、中耳に入った空気と機内の気圧を安定させる必要があります。

そこで、気圧調整用の「弁」がついた専用耳栓を使えば、機内の気圧の急激な変化を避けることが可能に。ただ、完全に防止することはできないため、不安感や不快感が大きい場合は事前に医師に相談することをおすすめします。ちなみに、普通の耳栓を使っても、気圧の急激な変化を防ぐ役割は果たさないことに留意しましょう。  

耳栓が耳鳴りに逆効果なケースとは?

耳栓が、騒音性難聴や飛行機内での急な耳鳴りのケースの予防に有効であることが分かりましたが、耳栓をすることをお勧めできないケースもあります。 特に、耳鳴りの原因が、「突発性難聴」や「メニエール病」である場合は、耳栓によって耳鳴りを緩和させることはできません。

突発性難聴やメニエール病は、内耳の内側がダメージを受けてしまい、耳鳴りと同時に、難聴やめまいなどの症状を伴うものです。こういった「感音性難聴」の場合は、仕事中や寝ている時など耳鳴りがいつ起きるか分からないため、不安なものですが、耳栓をしても耳鳴りが止むことは残念ながらありません。

かえって耳鳴りが強くなることもあるため、ステロイド薬や血流改善薬による投薬治療で経過を待ちましょう。また、耳鳴りの原因がこれらのケースにある場合は、発症から1週間以内に耳鼻咽喉科を受診することが必須です。  

耳栓を使う時に気をつけたいこと

■防音耳栓の使用後は、エタノールなどの消毒液でよく拭く

耳栓を長時間使用した後は、必ず消毒するようにしましょう。汚れによって防音の性能が低下することもあるため、欠かさず消毒による清掃をおこなうことが大切です。また、耳に傷口があった場合、耳栓が汚れているとそこから菌が侵入する場合もあるために有効です。

■「外耳道真菌症」に注意を

イヤホンも然り、耳栓を長時間耳の中に入れていると、耳の中が高音多湿になってしまい、カビが発生しやすくなる傾向に。このカビが原因となり、外耳道真菌症にかかってしまうこともあります。

症状としては、耳の中がかゆくなり、痛みを伴ったり、耳が聞こえづらくなったりすることが。この場合、耳がかゆくなってもなるべく触らず、綿棒などで入口だけを触る程度にし、病院を受診して薬を処方してもらうことが大切です。  

快適な”聞こえ”を守るために

まとめ

騒音性難聴や飛行機内での気圧の変化による耳鳴りの予防に、耳栓が大きな役割を果たしてくれることが分かりました。耳栓を購入する際はその耳栓ごとの目的をきちんとチェックしてから選び、使用中は忘れずにメンテナンスをしましょう。
また聞こえは進行性とも言われており、騒音性難聴などの有毛細胞が損傷してしまうことで発症する治りにくい症状もあります。聞こえに違和感を感じたら耳鼻科への相談とともに、聞こえをケアするための会話サポートイヤホンを検討してみてはいかがでしょうか。
会話サポートイヤホンOlive Smart Ear Plus

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