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健康と予防

更新日:2023.10.30

耳が聞こえにくい原因は?病気の可能性はある?

耳が聞こえにくい原因は?病気の可能性はある?

ある日ご自身で聞こえにくさを感じたら、どのように対処すればよいのでしょうか?
また、自分が感じている聞こえにくさと、周囲の方々が感じている聞こえにくさに差がある場合もあります。
この記事では、聞こえにくさの種類やその原因、対処法について紹介します。 

様々な種類の”聞こえにくさ”

「耳が聞こえにくいかもしれない」と思ったら、ご自身の聞こえにくさの状態を詳しく観察してみましょう。
単純にいつもより音が小さく聞こえるのか、頭の中で音が響いたり、水の中で音を聞いているように感じるのか、高音が聞こえないのか、など、様々な聞こえにくさがあるものです。
ここでは、いくつか挙げられる耳が聞こえないさまざまな状況について具体的に見てみましょう。

急に聞こえにくくなる 

ある日突然片耳だけが聞こえなくなったら、「突発性難聴」の可能性があります。
音が聞こえにくくなるという症状以外にも、音がこもったように聞こえる、耳閉感や耳鳴りがある、めまいといった症状が同時に起こることもあります。 

低音だけ聞こえにくくなる

女性と会話している時は大丈夫だったのに、男性と会話している時に聞こえづらさを感じる、という場合は「急性低音障害型感音難聴(ALHL)」の可能性があります。 
低音が聞こえにくくなる症状以外にも、片耳が詰まった感じがする、音が頭の中で響く感じがする、耳鳴りがする、といった症状を伴うこともあります。 

会話が聞こえづらくなる 

普段は聞こえていた人との会話が聞こえづらくなって何度も聞き返してしまう、外の通りや駅など騒音があるところでの人の言葉が聞こえづらい、という場合は軽度〜中等度の難聴の可能性があります。 
日常会話は30dB〜60dB程度と言われているため、会話が聞こえづらい場合は軽度〜中等度の難聴が疑われます。 

耳が詰まった感じで聞こえづらくなる

まるで水の中で音を聞いているような状態が続いたり、飛行機の搭乗中に感じる耳閉感が続いたりすることを耳閉感や耳閉塞感と呼びます。
耳閉感は一般的に、内耳の気圧と外部の気圧のバランスが崩れてしまった時に生じますが、特にこれといった原因が思い当たらないと不安になってしまうものです。
この場合、突発性難聴のほか、低気圧、中耳炎、耳管解放症といったさまざまな原因が考えられます。 

少し聞こえづらいだけでも受診がお勧め

上記で見たように「聞こえづらさ」の種類にはいくつかあるものの、耳に何かしらの障害が起きていることで生じる難聴であることが少なくありません。

耳の構造は、外側から大きく分けて「外耳」「中耳」「内耳」に分かれており、そのどこに障害が起きるかによって難聴の種類や治療の不可が決まってきます。
「外耳」と「内耳」に原因があるものは「伝音難聴」とされ、薬物投与で改善することもあります。

また、「内耳」と聴神経、脳に原因が見られるものは「感音難聴」とされ、改善するかどうかはケースバイケースとなっています。
さらに、両者が合併した症状のケースもあり、「混合性難聴」と呼ばれています。

どのケースも早期の診断が改善の可否の鍵を握ることも多く、難聴が進行しているケースでは補聴器や手術の必要性も出てきます。
耳が聞こえない時、注意すべきことは「まったく聞こえないわけではないから」「年齢のせいだから」とその状態を放置しておかないことです。

時間とともに「難聴」はどんどん進行してしまうため、改善できるものもできなくなってしまうことがあるからです。
また、「聞こえづらさ」はさまざまな病気のサインであることも多く、重大なケースでは脳梗塞など命に関わる病気の場合もあるため、放置は禁物です。  

耳が聞こえづらくなる耳の症状

耳に何らかのトラブルや症状がある場合、耳が聞こえづらくなる場合があります。
以下に主な症状を紹介します。 

加齢性難聴

 一般的に、30代から聞こえは衰えていきますが、殆どの人はそれを自覚するのは50代以降であると言われています。
加齢性難聴は、内耳の蝸牛の機能が老化することで起きると考えられています。加齢性難聴の場合、30%ほどの人が耳鳴りの症状にも悩まされており、聴力の低下より先に耳鳴りが原因で気づくケースも多いようです。 

突発性難聴

突発性難聴はある日突然片耳が聞こえなくなります。
ストレスやウィルス感染、またホルモンバランスの乱れなどが引き金になるケースが報告されています。
原因としては、内耳の血液のめぐりの悪さやウィルス感染が挙げられていますが、まだ不明な点も多いようです。
「キーン」という耳鳴りなどが症状の発症前後で起こることがあります。 

急性低音障害型感音難聴

急性低音障害型感音難聴は低い音だけが聞こえにくくなり、耳閉感や、音の歪みなどの症状が見られます。
急性低音障害型感音難聴は突発性難聴に比べて治りやすいという一面がある一方、長引いたり再発を繰り返したりする、という点もあります。 
風邪や疲れ、睡眠不足やストレスなどが原因とされており、内耳のリンパ液や血液の流れが悪くなることで引き起こされます。
年齢を問わず若い人にも発症する難聴として知られています。 

慢性中耳炎・真珠種性中耳炎

慢性中耳炎は急性中耳炎が治らず鼓膜に穴が空いた状態が続き、耳垂れを繰り返します。
耳から膿や液体が出るため、耳の中に違和感を覚えたり聞こえづらくなったりすることがあります。 
真珠腫性中耳炎は、鼓膜の表面の成分が中耳に入り込んで真珠のような小さな固まりを作る病気です。
真珠腫は周囲の骨など様々な組織を破壊する性質があるため、重症度の高い中耳炎であると言われています。 

メニエール病

メニエール病は内耳にあるリンパにリンパ液が溜まり、耳鳴りやめまいなどの症状を引き起こします。
耳の閉塞感などを伴いこともあり、この閉塞感や耳鳴りなどの影響により聞こえづらさを感じることがあります。
メニエール病の特徴的な症状としては回転性のめまいがあることで、時には吐き気などを伴うこともあります。 

急性音響性難聴

急性音響性難聴は大きすぎる音を聞いたことが原因で、その後に耳鳴りや耳の聞こえづらさなどの症状を引き起こします。
ヘッドホン難聴やイヤホン難聴、また騒音性難聴などとも言われており、100dB以上の大きな音を聴くことや、日常的に大きな音を聞いていること原因で起こる難聴です。
近年、若者に多い難聴としても知られています。

 耳硬化症

耳硬化症は耳小骨の中で最も奥側に位置する「アブミ骨」という部分が硬化して動きにくくなることで難聴などの症状を引き起こします。
難聴度合いは徐々に進行していくため、ある程度進行してから難聴を自覚するというケースも少なくありません。
はっきりとした原因は不明ですが、放っておくと重症化していくため注意が必要です。 

耳管狭窄症・耳管開放症

耳管狭窄症・耳管開放症は耳と鼻を結ぶ耳管が詰まったり、開きっぱなしになったりするなど、耳管の調整機能がうまくできなくなることで、耳の閉塞感や自分の声が響いて聞こえるなどの症状を引き起こします。
耳管狭窄症・耳管開放症の両方とも、風邪や鼻炎などの鼻への症状が原因で起こることが多いとされています。 

急性中耳炎

急性中耳炎は風邪や鼻炎などの際に細菌が中耳に細菌が入り込むことで、耳管が塞がった状態になり耳の聞こえづらさを引き起こすことがあります。 
痛みや発熱を伴うのが特徴的です。
急性中耳炎というと小さい子どもが罹患するようなイメージがあるかもしれませんが、大人でも罹患することがあります。 

滲出性中耳炎

滲出性中耳炎は中耳に液体が溜まることで難聴や耳鳴り、耳閉感などの症状を引き起こします。
急性中耳炎に罹患した際の治療が不十分で、十分に治りきらなかったことが滲出性中耳炎の発症原因の多くを占めています。
小児と高齢者に多く見られますが、痛みや発熱がないため小児では発見が遅れがちでもあります。 

耳が聞こえづらい場合の対処法

耳が聞こえづらいと感じたら、様子を見ずに耳鼻咽喉科を受診することが大切です。
自己判断せず、医師の判断を仰ぎましょう。
また、耳閉感には、水分をとったりあくびをしたりすることで改善するケースもたまにあります。

最近は、音響性難聴のひとつとして「ヘッドホン難聴(イヤホン難聴)」が増加傾向にあるため、ヘッドホンやイヤホンの使用時間と音量を控え、意識的に耳を休ませる時間をつくることも大切です。

まとめ

耳が聞こえづらいといったさまざまな現象は、難聴のサインである可能性が高いことが分かりました。
そのまま放置することで難聴が進行してしまったり、完治できる可能性を奪ったりしてしまうため、すぐに耳鼻咽喉科を受診することが大切です。

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