このみみとみらいへ

ミミマガジン

このみみとみらいへ

ミミマガジン

補聴器と集音器

更新日:2023.11.16

補聴器とは?【基礎をやさしく解説】選び方や価格相場などをご紹介

補聴器とは?【基礎をやさしく解説】選び方や価格相場などをご紹介

現在、日本には約1,430万人の難聴者がいます。
しかし、補聴器を利用している人は、200万人程度しかいません。
「最近耳が遠くなったな…」と悩んでいるにも関わらず、ほとんどの人が我慢しているのが現状です。

この記事を読んでいるあなたも、
家族との会話が聞こえなくてイライラする
電話の声が聞こえなくて仕事に支障がある
テレビや音楽を昔ほど楽しめなくなった
このような悩みを抱えているのではないでしょうか?

今回は、補聴器の正しい選び方や種類、購入するタイミングについて紹介していきます。

補聴器とは?

そもそも「補聴器」とは、聴力が著しく低い人の聴覚をサポートするための医療機器です。
日常会話などを問題なく、はっきりと聞くことを目的としているので、遠くの音や小さい音を拡大するためのものではありません。

騒音と声を区別して、声だけを聞き取りやすくしたり、使う人の聴力に合わせて調整できるなど、さまざまな機能が搭載されています。
また、どれだけ高性能であっても、厚生労働省の認定を受けていなければ「補聴器」と表記することはできません。

聞こえにくくなる理由

高齢になると聴力が落ちて、いわゆる「耳が遠くなった」という状態になることがあります。
日常生活でも支障をきたすため、ストレスを感じる場面も多いでしょう。

このような高齢によって聴力が落ちる症状を「加齢性難聴」といいます。「難聴者は非難聴者に比べて1.9倍、認知症になりやすい」という海外のレポートもあるほどです。

加齢性難聴は自覚がない場合もあるので、高齢のご家族を持っている人は、以下のような変化に気付いてあげましょう。

テレビの音量が大きくなった
聞き返す回数が増えた
自分の話す声が大きなった
会話の一部分だけ聞いていないことがある

音が聞こえづらいと、まわりの人とコミュニケーションを取ることに抵抗を感じて、最悪の場合、うつ状態になることもあります。
普段から上記のような症状がないか、注意してあげましょう。

引用:一般社団法人日本耳鼻咽喉科頭頸部外科協会,加齢と難聴(加齢性難聴),https://www.jibika.or.jp/owned/hwel/hearingloss/

補聴器を使う目的

補聴器を使う目的は、日常生活の音をはっきりと聞こえるようにすることです。
普段の会話やテレビの音など、聴力の低下が原因で、日常生活に支障をきたさないことを目的としています。

勘違いしている人もいますが、特別に小さい音を聞き取りやすくするものではありません。
また、どの程度の聴力になったら補聴器が必要になるのかは、その人の生活によって異なります。

日常会話をしていて聞き取りづらくなったり、自分にとって重要な音が正しく聞こえないと感じたら、補聴器の使用を検討しましょう。

補聴器を購入するタイミング

聴力は「dB(デシベル)」という単位で表記します。
数値が高くなるほど聴力が弱く、20dB以下であれば問題ありません。

一般的に、日常生活に支障がではじめる聴力レベルは「40dB以上」とされています。
いわゆる「日常会話」の大きさは、40dB〜50dBなので、ほとんどの人がこのタイミングで補聴器を検討します。

しかし、音が聞こえづらくなる原因は人によって異なるため、聴力が40dB以上なら「必ず補聴器が必要になる」というわけではありません。
難聴の原因によっては、投薬や手術によって症状が改善することもあるので、悩んでいる人は、日本耳鼻咽喉科学会認定の補聴器相談医に相談してみましょう。

補聴器の種類

それでは次に、補聴器の種類について紹介していきます。
補聴器を検討している人は「集音器」との違いが気になった人もいるのではないでしょうか?

また、補聴器は大きく分けると、以下3つのタイプがあります。
耳掛け型
耳穴型
ポケット型
それぞれ詳しく紹介していきます。

補聴器と集音器の違い

「補聴器」と「集音器」の大きな違いは、医療機器として厚生労働省から、認定されているかどうかです。
「補聴器」という名称が使用できるのは、製造メーカーが厚生労働省に申請して、正式に医療機器として認められた製品のみです。

また、購入方法にも大きな違いがあります。
補聴器は購入後、使用する人のライフスタイルや聴力に合わせて、調整をおこなう前提で作られています。
使用する人によって、細かく調整するため、補聴器を一般の電気屋や通信販売で購入することはあまり一般的ではありません。

一般的には補聴器の方が「性能が高く安全」とされていますが、最近では集音器の性能も上がってきており、一概に「どちらがいい」というものではなくなってきました。

関連記事:集音器と補聴器の違いとは?

補聴器には3つのタイプがある

補聴器には「耳掛け型」「耳穴型」「ポケット型」の3つのタイプがあります。
それぞれのメリット、デメリットを見ていきましょう。

耳掛け式

メリット:持ち運びしやすい
デメリット:メガネやマスクと干渉する

耳穴式

メリット:目立ちにくい
デメリット:高価である、紛失しやすい

ポケット式

メリット:操作しやすい、安価である
デメリット:目立ちやすい

耳掛け型は、軽度〜重度の難聴まで対応可能で、価格も片耳10~50万円程度と標準なので、もっとも人気のあるタイプです。

耳穴型は、耳の穴に直接、入れるタイプの補聴器で、もっとも目立ちにくい特徴があります。
耳の形に合うように、オーダーメイドで作るので、価格は高価になりやすいです。

ポケット型は、手先や目に不自由のある人などが使用するタイプの補聴器です。
本体からイヤホンが伸びているので、普通に日常生活を送っている人は、鬱陶しく感じるかもしれません。

補聴器の調整が重要なのはなぜ?

補聴器の調整はフィッティングとも呼ばれます。
フィッティングは、個々の聞こえの状態に合わせて聞こえやすくなるように調整を行う作業のことを意味します。

難聴は一人一人聞こえの状態が大きく異なります。
例えば「低い音が聞き取りづらい人」もいれば、「高い音がほとんど聞こえない人」「全ての音が聞こえづらい人」など、症状は様々です。
フィッテイングを通して、必要な音を聞き取りやすく、十分に聞こえている音はそのままに、その人にとって最適な聞こえとなるように調整していきます。

調整を行わなければ、同じ補聴器を使っていたとしても聞こえのサポートが不十分であったり、不要な音まで大きく拾ってしまうことで鼓膜を傷めてしまったりするため、補聴器の調整はとても重要な作業です。

補聴器のメリット・デメリット

ここで一度、補聴器のメリットとデメリットを確認しておきましょう。

メリット

・細かい設定がしやすい
・自然な聞こえ方に近い

デメリット

・基本的に高価
・購入までに手間がかかる
・微調整が自分でできる

補聴器は医療機器なので、きめ細かい設定が可能で、高性能なモデルも多いため、自然な「聞こえ」に近づけやすいメリットがあります。
品質が保証されていますが、すぐに使用したい人にとって、購入までに時間がかかってしまうのは大きなデメリットでしょう。

また、従来の集音器には、補聴器と比べて安価ですが、音質や機能面は劣ってしまうデメリットがありました。
しかし、最近では集音器の性能も上がってきており、難聴の心配がないのであれば、十分に効果を発揮してくれます。

集音器については、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひこちらも参考にしてみてください。

関連記事:集音器とは?補聴器との違い・種類・選び方・メリットを徹底解説!

補聴器の正しい使い方

補聴器は購入しても、すぐにキレイな音が聞こえるわけではありません。
購入後すぐにキレイに見えるメガネとは違い、しばらくは調整期間として慣らしながら使用することになります。

また、補聴器の調整という目的もありますが、難聴の人の脳は音の刺激が少ない状態に慣れているので、急に大きな音が聞こえるようになると、過剰に反応してしまいます。
そのため、脳が正しく音を聞き取れるようになるための、トレーニング期間でもあります。

まずは5〜6割程度のボリュームからはじめて、1週間ごとに徐々に大きくして耳を慣らす調整期間が最低でも3ヶ月は必要です。

補聴器の価格相場

補聴器にはさまざまな種類があるため、価格にも大きな幅があります。
タイプごとの価格相場を見てみましょう。

耳掛け型:片耳10〜50万円
耳穴型:20〜50万円
ポケット型:10万円以下

耳穴型は耳の形に合わせてオーダーメイドで作るため、他のタイプと比べると高価です。
また、ポケット型のタイプであれば、安いものだと1万円程度でも購入できますが、あまりオススメはできません。

相場と比べて安すぎるものは、すぐに故障したり機能が少なかったりするので、注意しておきましょう。
補聴器の価格について詳しくは以下の記事をご確認ください。

関連記事:補聴器の値段/価格相場・種類別の特徴を紹介

補聴器が高額だと言われるワケ

補聴器が高額であるワケは大きく分けて3つあります。

1つ目は、高度な技術が必要とされるためです。
補聴器は、単なるマイクのように一律に音を大きくするのではなく、音を分析したうえで、特定の音域のみを大きくするといった技術が必要となります。
このような技術を実現するためにコストがかかると言われています。

2つ目は、小型で軽量な部品が必要とされるためです。
補聴器は耳に装着するため、大きすぎたり、重すぎたりすると使うことができません。
1つ目で挙げたように補聴器には高度な技術が求められるため、多くの部品が必要となるのですが、部品を小型化、軽量化するためにコストがかかると言われています。

3つ目は調整費用やアフターケアが含まれているためです。
補聴器は定期的に聞こえの調整が必要なため、ほとんどの補聴器に購入後の継続的な調整費用が含まれています。
また、クリーニングや故障といったサービスが含まれていることも多く、このようなサービスを料金に含んでいることもあります。

補聴器を選ぶポイント

ここからは、補聴器を選ぶポイントを紹介していきます。
補聴器選びに迷っている人は、以下の4つのポイントを確認してみましょう。

・使用環境
操作性
・意欲
・価格

それぞれ詳しく紹介していきます。

使用環境

「家でゆっくり過ごすことが多い」「仕事でよく電話を利用する」など、音の環境はライフスタイルによってさまざまです。

それぞれの環境に適した機能が搭載されている補聴器を選ばなければ、問題が解決しない場合もあります。
補聴器を取り扱っているお店の販売員に、使用したい環境や困っている場面などを伝えましょう。

操作性

先ほども紹介したように、補聴器には大きく分けて3つのタイプがあります。
それぞれのタイプによって、装着方法や調整方法は異なるので、自分の好みのものを探しましょう。

補聴器は毎日使うものなので、操作性のストレスは大きな不満につながります。
補聴器販売店で実際に手に取って、操作しながら選びましょう。

意欲

「補聴器で会話を楽しみたい」「家族とコミュニケーションを取りたい」など、補聴器を使う意欲も重要です。
意欲がないと、せっかく購入した補聴器を、徐々に使わなくなってしまうことも考えられます。

補聴器選びも自分の意見が反映されていないと、使用する意欲が下がってしまいます。
ご家族が勝手に補聴器を選ぶことはなるべく避けて、本人の意思で補聴器を選択してもうようにしましょう。

価格

補聴器の価格はタイプによって、大きく差があります。
もちろん高価な補聴器には、さまざまな機能が搭載されていますが、高ければすべての問題が解決するわけではありません。

金額だけで判断せずに、自分の聴力やライフスタイルに合う機能が搭載されている補聴器を選びましょう。
おすすめの補聴器は以下の記事をご確認ください。

関連記事:【現在人気】おしゃれにかっこよく補聴器をつけよう!

補聴器を購入する流れ

補聴器を購入するときには、以下のようなステップを踏むことになります。

専門店へ相談
・聴力の測定
・補聴器を試す
・補聴器の購入
・日常での使用・再調整

一般的な補聴器購入の流れを紹介していきます。

専門店への相談

「耳が遠くなった?」と周囲から指摘されたり、難聴の自覚が出てきたら、まずは耳鼻咽喉科を受診しましょう。
本当に補聴器が必要かどうかは、専門医でなければ判断できません。
医師から「補聴器が有効」と診断されたら、補聴器販売店に相談してみましょう。

聴力の測定

自分に合う補聴器を選ぶためには、聴力の測定が必須です。
どの程度の音まで聞こえているのか、言葉がどのくらい聞こえているのかなどを測定してくれます。
補聴器に関する質問や相談にも対応してくれるので、可能な限りご家族と一緒に来店したほうがいいでしょう。

補聴器を試す

聴力やライフスタイルから、自分に適した補聴器を提案してくれます。
実際に装着してみて、ご家族と会話して使用感や装着感を確認しましょう。
補聴器をつけた状態で聴力を測定することで、どのくらい効果があるのかがわかります。
また、本当にストレスなく自分で操作できるのかも注意しておきましょう。

補聴器の購入

店舗によっては、日常生活で使用してから購入できる、レンタルサービスを実施しています。
長期間使うことになるので、聞こえ方や使用方法など、本当に納得してから購入するようにしましょう。

日常での使用・再調整

補聴器は購入後、3ヶ月程度の調整期間が必要になります。
調整期間は週に1〜2回は店舗に足を運ぶことになるので、自宅から近い方が便利です。
また、故障や汚れにより音が聞こえづらくなることもあるので、調整期間が終わった後も、年に1度は点検が必要になります。

補聴器の購入時に利用できる公費負担制度は?

補聴器の購入時に利用できる公費負担制度は大きく分けて3つです。

1つ目は「医療費控除」です。
医療費控除は補聴器の購入にかかった費用の一部が返ってくる制度です。
医療費控除についてはこちらで詳しく解説しています。
関連記事:補聴器の医療費控除は可能!受ける流れなども解説

2つ目は「補助金」です。
身体障害者手帳を取得している難聴の方は補聴器の購入の際に補助金の助成を受けることが可能です。

3つ目は「非課税」です。
補聴器は医療機器として定められているため、消費税がかかりません。

1つ目と2つ目は申請が必要となり対象になる場合、ならない場合がありますが、3つ目はどのような人でも対象となります。

まとめ

今回は、補聴器の正しい選び方や種類、購入するタイミングについてお伝えしました。
聴力の低下はコミュニケーション不足をはじめとした、大きなストレスの原因になるので、少しでも気になっている人は、耳鼻咽喉科の受診をオススメします。

また、音を聞こえやすくする方法は、補聴器だけではありません。
「補聴器はまだ早いのでは?」このように考えている人は、気軽に利用できる集音器を検討してはいかがでしょうか?

難聴は本人に自覚がない場合も多いので、ご家族が注意深く観察してあげることも大切です。

ミミマガジン編集長

大竹 舞

Mai Otake

新潟県出身。保険診療・自由診療の医療機関で接遇・販売を経験したのち、マーケティング部門でオウンドメディアの運用を担当。その際に突発性難聴を発症(現在は完治)。オリーブユニオンに入社後はマーケティング部に所属。自身の難聴経験を活かし、幅広い世代が抱える耳鳴りや難聴の悩みに対して、“わかりやすく、かつ身近な問題として感じてもらえる”をテーマに、ミミマガジンの運用・コラムの執筆にあたる。

大竹 舞

補聴器と集音器カテゴリの人気記事 Ranking in category