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補聴器と集音器

更新日:2024.02.16

補聴器の値段/価格相場・種類別の特徴を紹介

補聴器の値段/価格相場・種類別の特徴を紹介

補聴器は高いって聞くけど実際はどうなの?手頃に買える安い補聴器はあるの?価格が高いほど聞こえは良くなるの?…このような疑問を抱いたことがあるのではないでしょうか。

今回はそのような読者に向けて、補聴器の相場価格や機種ごとの価格、値段が高い理由、どのような選び方が良いのかについて解説していきます。

補聴器の値段の相場

大前提として、補聴器の価格はピンきりです。
片耳数万円で買えるものもあれば、両耳100万円以上するものもあります。

とくに、近年の傾向として、大手メーカーは高性能で高価格な補聴器を押し出しており、総務省の統計によると全国の補聴器1台の値段は数年前より2.5万円ほど高いです。

一般的に、補聴器1台の値段は下記のようだと言われています。
・低価格帯 10万円以下
・普及帯 10~20万円
・高価格帯 20万円以上

また、一般社団法人の日本補聴器工業会が2018年に行った調査によると、補聴器購入者の1台あたりの平均費用は15万円でした。
両耳だと30万円ほどになります。

内訳を見ていきますと、最も多いのが1台10~20万円で48%、次に多いのが5~10万円と20~30万円で17%ずつ、残りは5万円以下が7%、30万円以上が6%です。
7割以上の人が両耳20万円以上の補聴器を購入しています。

引用:日本補聴器工業会,JapanTrak2018調査報告

補聴器の値段:機種別

上の表をご覧ください。補聴器は機種によって価格や特徴にばらつきがあります。

補聴器の型は耳あな型、耳かけ型、ポケット型の3つに分けられます。
他にも型はありますが、代表的なのはこの3つです。
値段はポケット型が1番安く、耳あな型と耳かけ型は高くなっているのがわかります。

以下で機種ごとに詳しく説明していきます。

補聴器の値段:耳あな型

耳あな型の価格は1台5~60万円と大きくばらつきがあります。
軽度~中度難聴であれば片耳15万円程度で買えるものも多いですが、難聴が進んで高度難聴になると値段は上がります。
高度な機能をつけるとさらに高くなります。

耳あな型とは文字通り、耳のあなに入れて使用するタイプです。
一般的には一人ひとりの耳の形に合わせてオーダーメイドで作られるため、フィット感が高いのが特徴です。

メリットは、本体が小さくて目立たないことです。
1番小さいタイプであるIICは、覗き込まなければ見えません。
また、マイクが耳の中にあるため、自然な聞こえや方向感覚が得られやすいです。
帽子やメガネをつけていても邪魔になりません。

デメリットは、マイクとスピーカーが近いことでハウリングが起きやすくなることです。
大きな音も出せないため、高度難聴の人には向かないでしょう。
小さすぎて紛失しやすいのも難点です。

以上を踏まえ、目立たずに補聴器をつけたい人、普段から帽子やメガネをつける人に耳あな型をおすすめします。
しかし、いくら小さかったとしても、周りに気づかれることを完全に防ぐのは難しいということは覚えておきましょう。

補聴器の値段:耳掛け型

耳かけ型の価格も耳あな型と同じく、1台5~60万円と大きくばらつきがあります。
耳あな型より種類が豊富であり、値段も幅広くそろっています。
高度な機能をつけると高くなります。

耳かけ型とは、耳のうしろにかけて使用するタイプです。
耳あな型と違ってオーダーメイドではありませんが、音のこもり感や耳あなの閉塞感を抑えることができるため、より快適につけられるかもしれません。

メリットは、多くの機能をつけられること、種類が多いこと、ハウリングが起きにくいことです。
大きな音を出せるため、難聴度が高い人でも使用することができます。
最近では充電できるものも登場するなど、利便性が高いこともメリットです。

デメリットは、雨や汗などの水に弱いこと、帽子やメガネをつけると邪魔になることです。
しかし、現在は防水機能があるものや、本体が耳の裏に隠れる小さいものも発売されています。

以上を踏まえ、高性能な補聴器が欲しい人、数ある中から好きなものを選びたい人に耳かけ型をおすすめします。
最近ではおしゃれなものも発売されており、いま1番進化しているタイプです。

補聴器の値段:ポケット型

ポケット型の価格は、他の2つのタイプよりはるかに低くなっています。
値段の幅も3~13万円と狭いです。
安いのにはもちろん理由がありますが、お手ごろな値段で買うことができるのは大きな魅力でしょう。

ポケット型とは、胸ポケットなどに入れて使用するタイプです。
初代補聴器とも言えるでしょう。
本体とイヤホンをコードでつなぐタイプであり、大きいウォークマンのようなものです。

メリットは、本体が大きくて操作しやすいことです。
目で見ながら手元でスイッチを切り替えることができ、誰でも容易に扱うことができます。
また、大きな音を出せるため、重度の難聴者にも対応可能です。

デメリットは、大きくて目立ってしまうこと、コードが引っかかって邪魔になることです。
耳から離れた場所で音を拾うため、実際に耳で聞くのとは違う音が聞こえたり、服と擦れる音が聞こえたりすることもあります。

以上を踏まえ、重度難聴の人、あまりアクティブでない人にポケット型をおすすめします。
最近ではあまり販売されていませんが、いまだに取り扱っている店舗も存在します。

現在の主流

一般社団法人の日本補聴器工業会によると、現在の主流は耳かけ型です。
2005年時点では耳あな型が主流だったのですが、2010年頃には逆転し、2022年には耳かけ型が補聴器総出荷数の60%を占めるに至りました。

詳しい数値をご紹介しますと、2022年時点では、耳かけ型が58.9%、耳あな型が38.7%、ポケット型が2.3%、その他(メガネ型や骨伝導型)が0.1%以下です。

現在、補聴器の性能はどんどん進化しており、特に耳かけ型の進化はめざましいです。
主流だからといって必ずしも耳かけ型を選ぶ必要はありませんが、もし選ぶのに迷っているなら参考にしてみてもいいかもしれません。

引用:日本補聴器工業会,日本国内補聴器出荷台数

補聴器の値段:タイプ別

先述の通り、補聴器は選ぶタイプによって値段が大きく異なります。
また、値段だけでなく、使い続けていく上で重要となる使いやすさや付け心地なども異なります。
それぞれのタイプのメリットでデメリットを理解した上で選ぶことが大切です。

関連記事:【補聴器】値段やおしゃれさなど、タイプ別に選び方を解説!

補聴器の選び方

補聴器の選び方には大きく分けて4つのポイントがあります。

・どのような場所で使いたいか
・どのような形が使いやすいか
・難聴の程度はどのくらいか
・購入前に試聴ができるかどうか

上記の4つのポイントを意識すると、補聴器の購入を検討し始めた際に、ご自身にどのようなものが良いのか考えやすくなると思います。
下の関連記事ではさらに詳しく解説していますので、そちらもぜひご確認ください。

関連記事:補聴器の選び方をポイントや種類、聞こえ方などから解説!

補聴器の値段が高い理由

ここまで読んできて、「平均1台15万円なんて高すぎる!」や「メガネの方が全然安いではないか!」など、値段に疑問を持った人も多いのではないでしょうか。

しかし、補聴器を作っている会社だって、むやみに値段を高くしているわけではありません。
高くせざるを得ない理由があるのです。
ここではその3つの理由について解説します。

理由1 高性能な部品を使っているから

1つ目の理由は、使われている部品が小さくて高性能だからです。
補聴器はずっと耳につけるものであるため、できるだけ小さい設計となっています。
その小さな機械の中にたくさんの機能が詰め込まれているのです。

補聴器のしくみは、マイクで音を集め、集めた音を増幅・加工し、スピーカーから音を出すといったものです。
さらには、雑音を抑える機能、ハウリングを抑える機能、防水機能など高度な機能がたくさんついています。

言うならば、補聴器とはマイクとスピーカーがついた小型コンピューターのようなものです。
メガネよりもはるかに小さくて高性能なため、高くなってしまうのは仕方ないと言えるでしょう。

理由2 医療機器だから

補聴器は国から医療機器として認められています。
似たような製品に「集音器」といったものがありますが、これは家電に分類されており、医療機器として認められていません。

医療機器として認定されるには様々な基準をクリアする必要があります。
効果や安全性に関する厳しいテストをクリアすることはもちろん、販売方法も対面販売しか認められていません。

このような規定を守らなければならないため、どうしても値段は高くなってしまいます。
しかし、そのおかげで安全性や信頼性が確保されているとも言えます。

理由3 アフターケアの料金も含まれるから

補聴器は買ったらそれでおしまいではありません。
定期的に点検や調整をする必要があります。
頻度としてはだいたい2,3ヶ月に1度が一般的です。

視力が変化するのと同じように、聴力も時間が経つとともに変化します。そのため、その変化に合わせて音を再調整する必要があります。
また、ほこりなどによる汚れを取り除くことで、より長く使えるようになります。

このようにアフターケア料金も含んだ価格設定がされていることも、補聴器の値段を高くしている理由のひとつなのです。

補聴器購入を支援する公的制度

補聴器購入の際に受けられる公的制度について「医療費控除」「補助金」「非課税」の3つについて解説します。

医療費控除

補聴器の購入にかかった費用は医療費控除の対象となります。
医療費控除申請を行うことで補聴器購入の際にかかった代金の一部が返ってきます。

しかし、全ての人が医療費控除の対象になるというわけではなく、医療費控除の申請のためには補聴器相談医による診察と、「補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)」という書類が必要になります。
また、自身の所得によって返ってくる金額が異なる、ということも覚えておくと良いでしょう。
こちらの記事では医療費控除を受ける流れや返金額の計算方法を解説していますのでぜひご覧ください。

引用:国税庁,補聴器の購入費用に係る医療費控除の取扱いについて(情報),https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/180416/index.htm

補助金

補聴器の購入は健康保険の適応外であり全額自己負担が基本となります。
しかし、障害者総合支援法によって身体障害者手帳を取得している場合は、難聴の等級に応じて助成が受けられます。
支給額は購入する補聴器の形状や種類によって様々です。

補聴器購入の助成を受けるには、市区町村の福祉課へ相談したのち、指定の耳鼻咽喉科の検査や診察を受ける必要があります。
詳しい申請方法についてはお住まいの市区町村の福祉課窓口に問い合わせてみることをお勧めします。

非課税

補聴器は医薬品医療機器等法で医療機器であることが定められています。
補聴器は厚生労働省が定める「一定の身体障害者用物品」として認められているため非課税対象商品となり、消費税がかかりません。
補聴器が故障した際の修理代も基本的には非課税です。

しかし、補聴器が故障した際の修理にかかる一部の部品や交換用電池、補聴器本体以外の充電コードや操作用のリモコンなどには消費税がかかるため注意しましょう。

はじめての聞こえサポートに「オリーブの集音器」

オリーブユニオンでは、手に取りやすいスタイリッシュなデザインの集音器を扱っています。
最大の特徴は「聞こえのセルフ調整ができる」という点で、音を聞きたいシーンに合わせて、好きな時に、納得がいくまで、自分で調整を行うことが可能です。

調整方法はご自身のスマートフォンを使って行う方法と、専用の調整リモコンを使って行う方法の2種類(併用可)から選ぶことができます。

補聴器や集音器を使った新しい聞こえ方に妥協したくないという方にもおすすめの製品となっています。

まとめ

今回は、補聴器の相場価格や値段が高い理由、機種ごとの特徴、選ぶ際に気をつけなければいけないことについてお伝えしてきました。
補聴器選びの参考にしていただければと思います。

繰り返しになりますが、補聴器は人によって合う、合わないが大きく分かれます。
購入する前に1度試してみて、価格や機能、保証内容も確認した上で、自分に合うなと思ったら購入するようにしましょう。

言語聴覚士

ゴン・ハンオル

Han Eol Kong

韓国江原道春川出身。幼い頃から祖母と一緒に暮らしていた影響で高齢者関連の学問に興味を持ち、韓林大学聴覚学科に進学。大学時代に耳鳴り治療を開発する企業でインターンシップを経験し、聴覚士資格を取得。その後は補聴器専門センターでセンター長として勤務。現在はオリーブユニオンで顧客へのカウンセリングや製品開発を行うなど幅広く活躍中。

ゴン・ハンオル

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