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耳鳴りと難聴

更新日:2023.09.20

感音性難聴に補聴器の治療は良いの?原因や治療法も紹介!

感音性難聴に補聴器の治療は良いの?原因や治療法も紹介!

この記事では「感音性難聴」について詳しく解説します。感音性難聴の具体的な症状や原因、治療法までお伝えします。難聴の中でも最も一般的とされていて、さらには一定以上の年齢になるとほとんどの方が経験すると言われている感音性難聴について見ていきましょう。

感音性難聴とは?

結論、感音性難聴とは内耳が正しく機能していないということです。そもそも、耳が聞こえるようになっている仕組みを簡単に説明させていただくと、大きく分けて3つの段階があります。

1:聞こえて来た音を集めて、鼓膜まで届ける(外耳)
2:音の振幅を大きくする(中耳)
3:音の振動を電気信号に変換する(内耳)

上の役割の内耳部分で問題が起こっています。さらに音の刺激は外耳から中耳、内耳と伝わって聴神経へと順番に繋がります。内耳で問題が起こっている場合、聴神経へしっかりと刺激伝わらないため、私たちは音の刺激を正常に認識できません。

伝音難聴との違い

伝音性難聴と感音性難聴の違いは、音が耳から脳に伝わる仕組みの中で「どこで障害が起きているか」です。

中耳や外耳に障害が起こって発生する難聴が伝音性難聴、内耳(蝸牛)や脳で障害が起こって発症する難聴が感音性難聴です。

伝音性難聴は外科的処置や、薬剤投与などの治療によって聴力が改善する場合もありますが、感音性難聴では現時点では治癒が難しいと言われています。

伝音性難聴は耳垢栓塞や急性中耳炎、外耳道炎などが原因で発症することが多く、感音性難聴は突発性難聴、メニエール病、加齢性難聴などが原因で発症することが多くなっています。

混合性難聴との違い

混合性難聴は先ほど紹介した伝音性難聴と感音性難聴の両方の症状が合わさっている難聴のことを指します。

どちらの症状が重いかは人それぞれですが、やはり感音性難聴は明確な治療法が見つかっていないことから、混合性難聴の治癒も難しいと言われています。

また、伝音性難聴と感音性難聴のどちらの症状が強いかによって補聴器の効果が大きく異なり、一般的には、伝音性難聴の症状が強ければ補聴器の効果が高くなり、感音性難聴の症状が強ければ比較的補聴器の効果は低くなると言われています。

感音性難聴の場合は、重度になると伝音性難聴に比べて補聴器を使っても聞こえの状態が改善しづらいと考えて良いでしょう。

感音性難聴の症状は?

具体的に感音性難聴にはどのような症状があるのでしょうか?下記であげるもので全て網羅されている訳ではありませんが、ぜひ参考にしてください。

・片耳だけ(左右どちらかが感音性難聴)であれば、音がどこから聞こえているのか認識しずらかったりファミレスやカフェなど、騒がしい場所で音を聞き取ることが難しい
・両耳の場合は、話し相手が大きな声で話していても聞き取りにくい
・相手が話したことに対して聞き直す回数が多くなる
・耳鳴り
・音楽、テレビなどを楽しみにくくなる
・聞こえないことが多くストレスがたまり、1日の終わりに疲労感を感じる

また、後ほど詳しく書きますが、難聴は数多くの問題を引き起こします。上の症状で挙げたような「聞こえないことが多くストレスがたまり、1日の終わりに疲労感を感じる」ということが、認知症やうつ病発症の原因にもなります。ぜひ、この記事読んで、治療法や予防法について学んでいただけると幸いです。

感音性難聴の原因は?

前提として、感音性難聴には生まれつきである「先天性」のものと、生まれてから、後に難聴になるケースの「後天的なもの」の2種類があります。ここではそれぞれの原因について見ていきます。

先天的な原因

1つは子供の難聴の1/3を占めているとされる遺伝的なもの。他にはお腹に子供を身ごもっている母親がウイルス感染することが原因で、生まれてくる子供が難聴になるケースがありました。例えばサイトメガロウイルス、トキソプラズマなどのウイルス感染が原因とされています。

少し前までは、母親が風疹にかかることが最も大きな原因とされていました。とはいえ、今では風疹のワクチンが広まっているのでこちらは解決しています。他には早産、抗生物質を服用した時にも子供の聴力に影響を与える可能性もあります。

後天的な原因

◼︎加齢

こちらが後天的な感音性難聴になる1番の要因です。特定の年齢以上の方は、ほとんど感音性難聴を経験していると言われています。

◼︎音響外傷

例えば、音楽業界や工事現場で働かれている方です。常時騒音を聞いていると、耳の中の内耳が傷つけられてしまい、結果として難聴を発症します。また、若い時に気をつけて守った聴力は、年齢を重ねていざ感音性難聴になった時の程度を軽くするという報告もあります。なので、耳に負担をかけるような職場で働かれている方は、日頃から耳を守るために耳栓をしたりなどの対処をしましょう。

◼︎メニエール病

耳鳴りとともに、回転性のまめいや難聴、吐き気などを伴ったら、「メニエール病」が原因であることがあります。これは、「内耳」を満たしているリンパ液が過剰にたまり、水ぶくれを起こしてしまうこと(=内リンパ水腫)で引き起こされます。また、ストレス、疲れ、睡眠不足などが引き金となることも分かっています。

メニエール病の特徴は、難聴のほか、めまいの発作が数分、数時間、週に1度などといった間隔で繰り返される点にあります。早めに治療を開始して、根気づよく続けることで改善することもできます。

◼︎突発性難聴

ある日突然、朝起きて耳が聞こえにくくなったり、電話での相手の話し声が聞きづらいといった症状が片耳に起こるものです。難聴の程度には個人差があり、耳が詰まった感じがする軽度なものから、注意しないと相手の声が聞こえにくいといったもの、また、呼ばれた声に全く気付かないほど重度のものまであります。

突発性難聴の前兆としてよく報告されているものには「耳が詰まった感じがする(耳閉感)」「音が二重に聞こえる」「音が響き、エコーがかかる」などがあります。風邪の時に見られる症状でもありますが、このような状態が続いたらすぐに耳鼻咽喉科の受診をしましょう。  

◼︎聴神経腫瘍

聴神経に腫瘍ができてしまうことで、感音性難聴になるケースです。また、腫瘍はゆっくりと大きくなるため、症状もゆるやかに現れます。見過ごされてしまいがちですが、耳鳴りやめまいと併せて神経症状がみられる場合は、受診し精密検査を受けることが勧められます。

◼︎外傷の影響

頭部の怪我によって、耳の中の内耳を傷つけてしまい難聴になるケースです。

感音性難聴の治療方法は?

ここからは、感音性難聴の治療法についてです。治療法を試す際は、しっかりと専門的な知識を持った医師の判断に従いましょう。

感音性難聴の治療法1:補聴器の使用

前提として、感音性難聴を引き起こす主な原因とされている加齢に対しては、有効な治療法は見つかっていません。さらに加齢による難聴は困難とされています。そこで解決策の1つとなるのが「補聴器」です。補聴器で、日々の生活をサポートしてもらうことで、音楽を聴くなどの趣味、家族や友人との会話もストレスなく行うことができます。

また、日本耳鼻咽喉科学会のこちらの記事によると(難聴について)、難聴になることで様々な生活に支障をきたします。その代表としてあげられているのが「認知症の発生リスクを高めること」「社会的に孤立してしまい、うつ状態になること」です。もちろん他にもたくさんの支障がありますが、認知症、うつ病を避けるためにも、まずは医者に行って、自分に合った補聴器を作成することをサポートしてもらいましょう。

感音性難聴の治療法2:人工内耳の装用

多くのケースが補聴器を使用することで解決、改善されているとされます。しかしながら、重度の難聴の場合は補聴器が役に立たないケースもあります。その時に検討していただきたのが「人工内耳を装用」することです。

人工内耳とは、補聴器で効果がない方が選択できる、唯一の聴覚獲得方法です。人工内耳について簡単にご説明すると、手術で耳の奥の部分に機械を設置、同様に音をマイクで拾い、最初の取り付けた耳の奥の機械に音を送る2つ目の機会を取り付けます。受信装置に伝わった信号は、聴神経を伝わって脳へ伝わり、しっかりと音として認識することがでいます。

2019年のデータによると、日本では年間1,000件超の人工内耳手術が行われています。人工内耳の仕組みや手術後のリハビリについて詳しく調べたい方はこちらの記事を参照してください。(日本耳鼻咽喉科学会 難聴でお困りの方へ

感音性難聴が使用できる補聴器の種類

先ほど感音性難聴は伝音性難聴と比べて補聴器の効果を得づらいとお伝えしましたが、全く効果がないということではありません。
感音性難聴の場合、重度の場合は人工内耳を埋め込む手術が必要なるケースが多いですが、軽度から中度の場合は補聴器の使用が勧められるケースが多くなっています。

補聴器の選び方は難聴の種類を問わず、デシベルで表される「どのくらい音を大きくすることができるか?」という点や「どのようなデザインのものを選ぶか?」という点が重要になってきます。

左:耳あなタイプ、右耳かけタイプ

補聴器は大きく分けて「耳あなタイプ」と「耳かけタイプ」に分類されます。

「どのくらい音を大きくすることができるか?」という点では、耳かけタイプの方がより大きく音を出せる製品が多いと言われています。

「どのようなデザインのものを選ぶか?」という点では、耳あなタイプの方が小型でスタイリッシュなデザインが多いため、最近だと特に人気が高まっています。

補聴器の価格相場は耳あなタイプと耳かけタイプでの差はあまりなく、片耳5万円から50万円ほどです。
音の出力レベルなどの性能によって価格に大きく差が出ますが、どちらかのタイプが特別高いなどといった傾向は今のところないため、聴力の状態やデザインの好みによって選ぶのが良いでしょう。

最後に

40代を皮切りに、だんだんと聴力レベルは下がっていきます。さらに65代以上になると3人に1人が、75歳以上になると2人に1人が感音性難聴(加齢)に悩んでいるとされています。もちろん、今回紹介した感音性難聴になる原因は様々で、いつ何が原因で難聴になるかは分かりません。

しかしながら、一番の要因とされているのは難聴ですし、それれは規則正しい生活習慣をすることや禁煙、しっかりとした睡眠を取ることで老化を遅らせることが可能です。ぜひ、日頃からできる感音性難聴の対策をしてはいかがでしょうか。

ミミマガジン編集長

大竹 舞

Mai Otake

新潟県出身。保険診療・自由診療の医療機関で接遇・販売を経験したのち、マーケティング部門でオウンドメディアの運用を担当。その際に突発性難聴を発症(現在は完治)。オリーブユニオンに入社後はマーケティング部に所属。自身の難聴経験を活かし、幅広い世代が抱える耳鳴りや難聴の悩みに対して、“わかりやすく、かつ身近な問題として感じてもらえる”をテーマに、ミミマガジンの運用・コラムの執筆にあたる。

大竹 舞

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