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補聴器と集音器

更新日:2023.11.17

補聴器の補助金制度3つについて詳細に解説

補聴器の補助金制度3つについて詳細に解説

聞こえに悩む方にとって補聴器は生活に不可欠なものですが、補聴器の購入は全額自己負担で支払うことが基本となっています。
しかし、難聴の程度に応じて補聴器購入の際の支給を受けられる制度があります。
今回は補聴器の補助金などの制度について解説します。

補聴器購入に、保険をはじめとする補助金・助成金制度は適用できるの?

 補聴器の購入を検討されている方の中で、「私が加入している保険は、補聴器購入において適用の対象になるの?」という疑問を抱いている方も多くいらっしゃると思います。

しかし、残念ながら、現時点では介護保険や健康保険などの適用は認められておりません。
ただ、対象者によっては、購入者の負担が軽くなる制度が他に存在するので、本記事ではそちらを徹底的に解説していきたいと思います

補聴器の補助金に関する3つの制度

補聴器は平均価格が15〜20万円(片耳)とは非常に高い買い物であるため、購入する上で少しでも安くなる制度があれば良いですよね。
しかし、補聴器の購入は保険の適用外であり、健康保険や生命保険、介護保険などの保険は全て適用させることができません。

ただ、補聴器購入において購入者の負担が軽くなる制度が大きく分けて3種類あります。
それは以下の3つです。

1.「障害者総合支援法」による補装具費の支給
2. 医療費控除の申請
3. 地方自治体からの給付金

(※なお、制度利用におけるルールは、お住まいの自治体によって異なります。精度を利用される際には、必ず市区町村の担当窓口までお尋ねください。)

補聴器の補助金制度①:「障害者総合支援法」による補装具費の支給

障害者総合支援法は、障害のある方が日常生活や社会生活を過ごすために必要な支援を受けるための法律です。
通常、聴力が規定で定められた値以下である場合、身体障害者に認定されます。
そして、この認定を受けている方であれば、障害者総合支援法で定められている補装具費の支給の対象となり、補聴器の購入時に補助を受けることができます。

ただし、認定される聴力の規定は、平均聴力レベルが70dB以上-90dB未満からの高度難聴レベルとなります。
軽度〜中等度の難聴の方は補助の対象外となることを覚えてきましょう。

また、認定の手続きは自治体ごとにも異なるため、詳しいことはお住まいの自治体に問い合わせてみることをお勧めします。

「障害者総合支援法」による補聴器の補助金制度について、こちらの記事でも詳しい説明を行っています。

引用:厚生労働省障害保健福祉部企画課, 障害者総合支援法について, https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000036ouk-att/2r98520000036ozu.pdf

<「障害者総合支援法」による補装具費の支給までの流れ>

①市役所の障害福祉課等で「身体障害者診断書・意見書」を受け取る
お住まいの自治体の障害福祉課で「身体障害者診断書・意見書」を受け取ります。 
※自治体によって「障害福祉課」の表記名称が異なる場合がございます 

②障害福祉課で指定された耳鼻咽喉科を受診する 
「身体障害者診断書・意見書」を持って指定の耳鼻咽喉科を受診します。
診察や検査などを受けた後、指定医が「身体障害者診断書・意見書」を記入します。 

③障害福祉課に「身体障害者診断書・意見書」を提出する 
「身体障害者診断書・意見書」を市役所の障害福祉課へ提出します。
発行から1年を過ぎると書類が無効となるためご注意ください 

④障害福祉課で「身体障害者手帳」の交付申請を行う 
障害福祉課で身体障害者手帳の交付申請を行います。
交付申請書は障害福祉課で受け取ることができます。
手続きの詳細についてはお住まいの自治体にお尋ねください。 

申請後、内容の審査や等級の判定などが行われ、通常1か月程度で身体障害者手帳が交付されます。 

⑤障害福祉課で「身体障害者手帳」を受け取る 
交付申請を行い申請が通った場合、障害福祉課で身体障害者手帳を受け取ることができます。 
※手帳交付の対象とならない場合は却下通知書が送付されます。 

⑥障害福祉課で「医学的意見書」を受け取る 
障害福祉課で「医学的意見書」を受け取ります。 

⑦障害福祉課で指定された耳鼻咽喉科を受診する 
「医学的意見書」を持って指定の耳鼻咽喉科を受診します。
診察や検査などを受けた後、指定医が「医学的意見書」を記入します。

⑧補聴器販売店で補聴器の見積作成を依頼する 
「医学的意見書」を持って補聴器販売店へ行きます。
意見書に基づきいくつか補聴器の提案を受け、希望する補聴器を選びます。
その後、補聴器販売店で見積書を作成してもらいます。 

⑨障害福祉課に「見積書」を提出し「補装具費支給券」の給付申請を行う 
障害福祉課に「見積書」を提出した後、「補装具費支給券」という給付券の給付申請を行います。
手続きの詳細についてはお住まいの自治体にお尋ねください。 

申請後、通常1か月程度で補装具費支給券が交付されます。 

⑩「補装具費支給券」を受け取る 
給付申請を行い申請が通った場合、自宅に「補装具費支給券」が送付されます。 

⑪補聴器販売店で補聴器を購入する 
「補装具費支給券」と自己負担額分の金額、印鑑を持って見積書を作成してもらった補聴器販売店へ行き、補聴器を購入します 。

以上が「障害者総合支援法」による補装具費の支給の流れとなります。
かなり複雑な工程が必要となるため、ご不明な点がある場合は、お住まいの自治体の障害福祉課等に相談されることをお勧めします。 

補聴器の補助金制度②:医療費控除の申請

平成30年より、補聴器購入において医療費控除を受けられることが、厚生労働省と財務省によって承認されました。
医療費控除とは、税務署に確定申告における医療費控除対象として申請することで、所得税ならびに住民税が安くなる制度のことです。

医療費控除の申請の仕方や実際にいくら安くなるのか、など詳しくはこちらの記事で紹介していますのでご確認下さい。

補聴器の補助金制度③:地方自治体からの給付金

補聴器購入者に対し、助成する地方自治体があります。

詳しくは、一般社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会ホームページに記載されている、補聴器に関する助成事業を行っている地方自治体の詳細をご覧ください。

まとめ

◆補聴器の購入に保険は適用できない
◆補助を受ける方法は3つ

「障害者総合支援法」による補装具費の支給

→補助金の金額は、聴覚障害等級によって異なるが、自己負担額は1割と大きく軽減することができる。
支給されるためには「身体障害者」として認定を受ける必要があり、対象者はかなり少ない。

医療費控除の申請

→補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)を受け取り、申請すれば、医療費控除の対象者となるので、対象者の幅は広いものの、所得税と住民税の圧縮になるだけで「障害者総合支援法」による補装具費の支給と比較すると、そこまで安くはならない。

地方自治体からの給付金

→地域によっても制度自体の有無や受けられる内容に大きくばらつきがある。

軽度・中等度難聴の方には、お手頃な集音器から初めてみてはいかがでしょうか。

以上、補聴器購入における制度を3つご紹介しましたが、「TVの音が聞こえづらくなったな」「会話や打ち合わせで聞き返すことが多くなった」ような方には、まずは集音器の購入がおすすめです。

詳しくは、集音器とは?定義や使用におけるメリット・魅力について解説!の記事をチェックしてみてください。

【参考文献】https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/yogu/aiyo.html(厚生労働省 「補装具費支給制度の概要」)

http://www.jibika.or.jp/members/iinkaikara/fukusi_koujyo.html(一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 「補聴器購入者が医療費控除を受けるために」)

https://www.zennancho.or.jp/hearing_aid/hearing-aid-welfare-intro/(一般社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会「補聴器に関する助成事業を行っている地方自治体」)

http://www.hochouki.com/select/support.html(一般社団法人 日本補聴器工業会「補聴器ライフを楽しもう!」

ミミマガジン編集長

大竹 舞

Mai Otake

新潟県出身。保険診療・自由診療の医療機関で接遇・販売を経験したのち、マーケティング部門でオウンドメディアの運用を担当。その際に突発性難聴を発症(現在は完治)。オリーブユニオンに入社後はマーケティング部に所属。自身の難聴経験を活かし、幅広い世代が抱える耳鳴りや難聴の悩みに対して、“わかりやすく、かつ身近な問題として感じてもらえる”をテーマに、ミミマガジンの運用・コラムの執筆にあたる。

大竹 舞

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